離れ小島で精算運転!京王競馬場線を都営新宿線車両が往復運行していた 2010年~2013年

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こんにちは。10月の列車です。

地下鉄と郊外路線などの相互乗り入れ運行は大変便利で、鉄道ファン的にも地下鉄車両を郊外路線で見られたりその逆が楽しめるわけですが、そこには必ず「車両使用料相殺・精算」という問題がつきまといます。これは例えば京王電鉄の車両が都営地下鉄新宿線に乗り入れて営業運転を行った場合、都営地下鉄は「京王電鉄の車両を使って営業(運賃を稼ぐ)運行をした」ことになるため、乗り入れ走行した距離分の「車両使用料」を都営地下鉄から京王電鉄に払うことになるわけです。逆の場合も同様です。ならば、お互いの車両が相手の鉄道事業者に乗り入れる距離をほぼ同じにしてしまえば、お金の精算はほぼ発生しなくなるわけで、多くの相互乗り入れ路線でこのように「お互い同じ距離だけ乗り入れし合う」ということが行われています。

しかし、京王電鉄と都営新宿線で行われた2010年ダイヤ改定から2013年ダイヤ改定のおよそ3年間、前述のような車両使用料相殺のためとはいえ、とっても珍しい運行形態がとられていました。都営新宿線に直接接していない東府中~府中競馬正門前間の1駅間だけの路線「京王競馬場線」の土休日の往復運行に、なんと都営新宿線の8両編成車両が用いられている時代があったんです。今回はその特異な風景を振り返ります。

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京王競馬場線の1駅間を往復する地下鉄車両に会いに行こう!

この運行形態が誕生した背景

東府中駅を出て府中競馬正門前駅へ向かう、都営新宿線10-000形の10-210Fです。

何故こんな新宿から離れた1駅路線で地下鉄車両が働いていたのか。京王電鉄と都営新宿線では、京王相模原線橋本~都営新宿線本八幡を昼間20分間隔で結ぶ直通急行電車を、2006年ダイヤ改定から基本的に10両編成で運行することになりました。なのですが、2006年当時まだ都営側は8両編成車ばかりで、10両編成車は無し。そのためこの急行電車のほとんどが、10両編成を組む京王車両による運行だったんです。京王車両が多めに運行するということは当然、車両使用料のバランスが崩れ、「都営地下鉄→京王電鉄」の支払いが多めに発生してしまうので、8両編成の都営車両が京王線内を走る距離をもっと増やさねばなりませんでした。しかし前述の急行電車以外はほとんど笹塚止まりだった当時のダイヤ。これでは乗り入れようがありません。そこで直通電車ではなく、2006年から2010年ダイヤ改定までは京王相模原線橋本~調布間を昼間折り返し運行する各駅停車に3本の都営車両を、2010年から2013年には土休日ダイヤに限りこの京王競馬場線を往復運行する1本に都営車両を使用することとし、お互いの車両乗り入れ距離の調整を図っていたということなんです。

競馬場線を往復する都営10-000形

府中競馬正門前を発車し、東府中駅2番線に到着しようとする都営新宿線10-000形 10-210Fです。8両編成の車内はだいたい閑古鳥が鳴いていましたが、東京競馬場への出入りがある時間帯は観客たちのスムーズな輸送に一役買いました。

「府中競馬正門前」の前面方向幕のアップです。7文字もあるので「府中」を小文字で縦に書いてしのいでいますね。

10-000形の側面方向幕も幅が狭かったので、こんな感じで大変でした(笑)

府中競馬正門前に到着した10-210Fです。まだこの時間は東京競馬場の観客が帰る時間には早かったので、空気輸送ですがそれを承知で運行していました。

東府中行きとしてまもなく発車しようという10-210Fです。

やがて空気輸送の10-210Fは府中競馬正門前駅を出て行きました。押し寄せる競馬観客をさばくための広いホームが印象的です。

10数分後、また府中競馬正門前駅に戻ってきた10-210Fです。車両所属路線から離れたところで往復運行というのは多くの鉄道ファンも関心を持っていたようで、このように撮影する人もよく見られました。

珍車 10-300R形も競馬場線運行に充当

これは別の日、「先頭車だけ新車、中間車は従来車!」として有名だった10-300R形の編成が土休日の競馬場線運行に入ったときのものです。

このようにまるっきり違う車体どうしを組み合わせた珍編成が、新宿から離れた府中市内で往復運行しているという、違和感でお腹いっぱいになりそうな光景があったんです。

LEDでの「府中競馬正門前」表示は「各停」の2文字も加わってそれはもう大変でした。

これは10-300R形ではなく、8両オール新車の10-300形 10-380Fが府中競馬正門前駅に停まっている光景です。この編成も20年足らずしか活躍できませんでしたが、このように競馬場線での運行など数々の想い出を残してくれました。

違和感満載の光景でした

いかがだったでしょうか。

車両使用料の相殺のため、新宿から離れた京王競馬場線の1駅間を往復する都営新宿線車両という、摩訶不思議な光景をご紹介しました。なお2013年のダイヤ改定以降は京王電鉄のダイヤががらっと刷新され、現在のように20分おきに新宿発の相模原線特急+都営新宿線直通の区間急行と快速が1本ずつというものに変わったので、8両編成が混ざりながらも直通電車の多くに都営車両が使えるようになったので、このような離れ小島の精算運転は必要なくなり、現在は見られなくなりました。しかしこの3年間だけの魔訶不思議な光景が展開されていたことを、この記事を通じて多くの若い方に知ってもらえればと思います。

最後までご覧下さり、ありがとうございました。

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