こんにちは。10月の列車です。

滋賀県のローカル私鉄 近江鉄道で、1991年から2015年頃まで活躍していた珍種の電車「220形」をご存じですか? この220形は、大手私鉄などから譲渡された中古電車ではなく、近江鉄道自社の彦根工場で製造されたんです。しかし平成に入っている1991年なのに、なんと吊り掛け駆動。そうです、西武鉄道はじめ各社から集めてきた中古鉄道部品を中心に使用した「新古車」とも「ハンドメイド電車」ともいえるとってもユニークな電車だったのです。16メートルの短い小さな車体で、時には混雑にあえぎながらも21世紀まで頑張って近江路を走っていたのです。
今回は、ぜんぶで6両製造された220形電車の活躍のようすを2回シリーズで振り返ります。2回目のこの記事では2015年2月に撮影した、鉄道ファンの方による貸切列車として単行用の220形が珍しく2両連結で走り、彦根の車庫内での撮影会も含めて参加させて頂いたときの模様を掲載します。
※この近江鉄道220形は西武鉄道からの譲渡車両ではありませんが、西武鉄道由来の部品などを多用していることや、近江鉄道自体が西武グループであり西武鉄道ファンの関心も高いことから「あの頃の西武鉄道」カテゴリーに分類させて頂きました。
貸切列車として2両連結で走る220形に会いに行こう!
彦根から貴生川へ向かう226号車+225号車

集合場所で貸切列車の始発駅である彦根駅に入線した、226号車+225号車です。まずは貴生川に向けて発車しますが、先頭がライオンズカラーの226号車。オリジナルのヘッドマークも取り付けられて格好よく決まっています。

めったに見られなかった、220形同士の連結です。電気連結器などはないので、ジャンパ線でブレーキ?に関しては繋がっていますが、2両の総括制御はできないため、なんと2両それぞれに運転士さんが乗り、警笛か無線で合図の上運転するという豪華仕様でした。

226号車側から、連結された225号車側を見ます。運転台がよく見え、おそらく西武鉄道発生品である古いマスコンハンドルと、近江鉄道オリジナル電気指令式ブレーキハンドルがよくわかりますね。速度計などの計器類はきれいなので新品なのでしょうか。それにしても右側の「元気元気元気」が気になってしまいました(笑)

後ろの225号車は伊藤園「お~いお茶」のラッピング車両でした。225号車は「録音優先車」とされ、吊り掛け駆動の走行音を録音したい人によって床に録音機材がたくさん置かれ、人は乗ってもいいけれど静かにしてね。ということになっていました。

226号車の表記類を撮影してみました。16メートルの小さな車体でも多くの機器がつまっているので、重さは実に38トンもあるのですね。
桜川駅での撮影タイム 820形と並び!

八日市駅のつぎの交換駅、桜川駅にて小休止兼撮影タイムとなった、226号車+225号車の貸切列車です。2両連結した220形なんてめったに見られないため、多くの人がシャッターを切っていました。私も構内踏切から撮影しました。

ホーム上から撮るとこうなりました。2015年の奇しくも2月21日。天気も良くてさわやかな冬の日でした。

やがてやってきた、八日市行きの820形 821編成との並びです。また構内踏切から撮りました。西武鉄道401系時代の顔の面影がよく残っている820形。うち1本は引退してしまいましたが、残り1本は「赤電」としてまた人気者になっています。
日野駅・豊郷駅での撮影タイム

日野駅での撮影タイムに撮影した貸切列車です。日野駅では先ほどの桜川駅とは変わって編成側面は陰になりましたが、ここでも多くの人にカメラを向けられていました。

貴生川駅まで行った貸切列車は折り返し、彦根駅への帰路につきます。復路も日野駅で撮影タイムがあったため、こんどはお茶色の225号車を先頭にした2両編成をカメラにおさめました。

アニメ「けいおん!」の聖地、旧豊郷小学校校舎が近い豊郷駅でも停車時間と撮影タイムがありました。たぶんたまたま列車交換のためだと思いますが、やはり鉄道ファンとアニメファンは密接な関係に昔からありますよね。
彦根車庫内での特別撮影会
※この項目内の写真は、貸切列車の参加者限定で車両基地内に入れていただき、特別に線路上から撮影させて頂いたものです。危険なうえに迷惑となるので、一般の方は線路内に絶対に入らないで下さい。

先ほどまで乗っていた225号車と226号車が切り離され、車庫の片隅で休んでいます。手前が225号車、真ん中が226号車。いちばん奥にいるのは221号車です。

220形が使用している、FS40形という台車。吊り掛け駆動ながら空気ばねという台車で、西武鉄道の551系・571系電車などにも使われていました。この台車のおかげで、ローカル線特有の揺れる線路ながら乗り心地はけっこうよかったです。

車庫でお留守番していた221号車(左)と226号車(右)が並びました。221号車にも西武鉄道の「急行 奥武蔵」ヘッドマークをもじった架空のヘッドマークがはられています。ちゃんと琵琶湖の形なのがいいですね。なお221号車のヘッドライト下にジャンパ線があるのは、当時221号車は事業用車(線路への敷石散布などで貨車をけん引する)として使われていたためです。

少し場所を左側に写してもう一枚。221号車の後ろに、線路に敷く敷石を積載する貨車が連なっています。この貨車も、たしか近江鉄道の古い電車の台車と台枠を流用していて電気指令式ブレーキが使えるという、世にも奇妙な貨車(誉め言葉です!)なんですよね。そして右側には西武鉄道から運ばれてきてまだ改造されていない、クハ1309号車が見えます。クハ1309号車のお顔は今、近江鉄道100形の105編成(モハ105号車)に生かされています。

最後に、220形2両+営業線上の800形と旧あかね号の700形、そして改造前の西武301系クハ1309号車による「拝島快速 西武新宿」……! もう何でもありですね(笑) これ以外にも改造前の西武3000系など、色々な車両を撮影会に登場させてくださり、もう220パーセント大満足ないちにちとなりました。貸切列車を主催して下さった「もぎり屋」様、近江鉄道職員の皆様、どうもありがとうございました。もう10年も前のことではありますが、この場を借りて厚く御礼申し上げます!
以上になります!
いかがだったでしょうか。
普段はトコトコと1両で走っている近江鉄道220形が、運転士さん同士の見事な連携で貸切列車として彦根~貴生川駅間を往復運行しただけでもすごいのに、サービス満点の車庫内撮影会。今思うと本当にすごい一日だったのだなぁと思います。新101系、3000系に続き、新旧2000系もデビューしようとしている近江鉄道。閑散時はちょうどよくても通学ラッシュには対応できない単行・16メートル車体の電車はもう近江鉄道には出てきそうにありませんが、この唯一無二な電車のことをわたしたちは是非とも記憶と記録にとどめ、後世の鉄道ファンに語り継いでいきたいものです。そしてたびたび存廃問題で揺れる近江鉄道の路線たちが、いつまでも長く走り続けられるように願いつつ、この記事の締めとしたいと思います。
最後までご覧下さり、どうもありがとうございました。

